登山道整備編 第二期

私たち登山者は、山の中で、きれいな空気を吸い、すばらしい景色を眺め、時には人との貴重な時間を過ごします。登山を通して心身が健康になること、余暇の楽しみが増えることで、自分の人生を充実させています。
それらの恩恵を受けている私たちの足元には、道があります。
山に親しむ登山者の手で、未来に残る道をデザインしませんか?
自分が作った道を、日々たくさんの人が歩く。道があることで、周囲の生態系や植生が守られる。
道づくりは、登山とは異なる面白さと感動を与えてくれる、山の新たなアクティビティです。

講師
岡崎哲三
一般社団法人 大雪山・山守隊・代表

自然に近い・近づける「近自然工法」による登山道整備や技術指導で1年中歩き回り、山を治す。山は好きだけど、登山よりも治すことの方が好き。自然を観察し、変化を感じ取り、合わせていく作業を実践している。

講師からのコメント

大雪山の「登山道荒廃問題」は深刻な状況です。300kmあると言われる登山道では、いたるところで道が崩れ歩きにくくなり、土が流され、植物が減っています。
YAMA LIFE CAMPUS(登山道整備編)では、侵食を止め、生態系を復元させる考え方である「近自然工法」を皆さんと共に学び、登山道整備を実践したいと考えています。登山道整備は「自然観察とものづくり」であり、どちらもとても楽しいと思っています。
復元した植物を見た時の感動は、普通の登山ではまず感じない感情です。
大雪山という美しい自然を利用するだけでなく、地域の自然正しく理解し、旅を楽しむという真のエコツーリズムで皆さんとお会いできることを楽しみにしています!

講師のインタビュー
登山道整備のプロから学び、山の楽しみ方を広げる講座が開講!
カリキュラム

  1. 7月
    テーマ:自然をマネして、道をつくる

    いま日本各地の山々で、登山道の荒廃が進んでいます。
    崩れた登山道を放置すれば、転倒や滑落などの原因となり歩く人の安全を脅かすだけでなく、周囲の生態系や植生が侵食されるため、やがて美しい風景も失われていきます。
    この問題に対しては、これまでも登山道を補修する様々な取り組みが行われてきました。
    しかし、登山道の整備は、やり方によっては自然の景観美を損なうばかりか、さらに被害を拡大させるリスクがあるため、正しい知識と技術を身につけて行う必要があります。

    1ヶ月目は、自然の価値や構造物の力学、生態系・植生についての理解を深めながら、風景になじみ、植物を蘇らせ、100年後の森を育む道づくりを学びます。
    フィールド講習では、夏の雪景や希少な高山植物、秋の紅葉などで人気の大雪高原温泉沼めぐり登山コースで、実際に多くの登山者が歩く登山道を作ります。

    1. オンライン講習
      日程:7月4日(月) 19:30~21:00

      内容:オリエンテーション / 講師・参加メンバー紹介 / 大雪山の現状と侵食のメカニズム / 注目を集める職人技 "近自然工法"
    2. オンライン講習
      日程:7月13日(水) 19:30~21:00

      内容:自然地理学から見た大雪山の登山道と植生 / 地形の経年変化モニタリングと今後の傾向

      招待講師:北海道大学 大学院 小林勇介 氏
    3. フィールド講習
      日程:7月23日(土)〜24日(日)

      場所:大雪高原温泉沼めぐり登山コース 周辺

      内容:生息する動植物の種類、川の流れや底に沈む石の状態など、自然観察による自然物の構造理解 / 生態系の把握 / 自然の景観に溶け込む道づくり
  2. 8月
    テーマ:止まらない侵食。"再生"のスピードを加速せよ

    日々、登山者の安全や自然環境の保護に向き合い道を治し続ける人、そこにボランティアとして協力する人たちがいます。
    しかし、この努力で治せるスピードを大きく上回るペースで侵食は進んでいます。
    本講座で扱う近自然工法のように整備技術は存在しますが、残念ながら、技術だけでは山を守りきれない現状があります。
    日本の豊かな自然風景と、山に行く楽しみを守るために、いま登山者の皆さんの力が必要です。

    2ヶ月目は、大雪山国立公園にスポットを当て、国や行政の取り組みと課題、登山者に求められる役割について議論します。
    フィールド講習では、大雪山の中でも特にすばらしい絶景を誇る白雲岳にある山小屋をベースに、高山植物の植生復元を考えた整備を行います。周囲の資材を見極め、歩いても崩れず、時間がたつほどに風景に馴染む施工を目指します。

    1. オンライン講習
      日程:8月10日(水) 19:30~21:00

      内容:日本の国立公園と成り立ち / 大雪山が持つ "国宝級" の価値と特徴 / 行政の取り組みと課題

      招待講師:環境省北海道地方環境事務所・大雪山国立公園管理事務所 広野行男 氏
    2. フィールド講習
      日程:8月19日(金)〜21日(日)

      場所:白雲岳 周辺

      内容:高山帯にある寒暖差が作りあげた芸術的な生態系を体感 / 砂礫地での登山道整備とは、崩れを見越した施工方法 / 自然の時間軸を考える植生復元
  3. 9月
    テーマ:人が歩くほどに、山が美しくなる未来へ

    自然環境を守るためには、人が山に入らない方がよいという見方があります。
    しかし、山はすでに人のライフスタイルや産業と密接に結びついており、今から人の立ち入りを止めたところで、侵食は止まりません。
    一度人の手が入った山は、荒廃の拡大を食い止めると同時にその景観美を将来に残すために、人の力を必要としています。
    そして、人と山との共存関係を築いていくためには、人がもっと山を好きになり、守ることへの関心を高めていくことが不可欠です。
    その意味において、登山は、人と山の関係をつなぎとめるとても有効な手段になります。

    3ヶ月目は、普段の登山とは異なる新たな視点で山を見渡し、生きた風景や植生に思いを巡らせ、登山者一人ひとりにできることを考えます。
    その過程で、日本よりも登山道整備の歴史が長い、海外の取り組みや先進的な仕組みについて理解を深めます。
    フィールド講習では、北海道の大自然を感じられる湿原や原生林、山奥の秘湯などで人気の愛山渓エリアを訪れ、これまで学んだことの集大成として、人と自然に優しい道づくりを行います。

    1. オンライン講習
      日程:9月1日(木) 19:30~21:00

      内容:日本と海外の整備文化の違い / 世界の先進事例から日本が学ぶこと / 自分の能力を活かす場所としてのボランティア

      招待講師:トレイル研究家・コンサルタント 勝俣隆 氏
    2. フィールド講習
      日程:9月10日(土)〜11日(日)

      場所:愛山渓 周辺

      内容:踏圧侵食を防ぐための木道作り / 侵食防止と歩きやすさのバランスを考える / 人間が嫌いなドロドロ道は植物には必要な土壌、植物の視点で考える観察眼を養う
    3. オンライン講習
      日程:9月20日(火) 19:30~21:00

      内容:3ヶ月間の振り返り・学びの共有 / 次のステップアップと今後の道づくりへの関わり方について
期間・募集人数
  1. 参加期間
    2022年7月〜9月
  2. 受講料
    160,000円(税込)

    内訳
    フィールド講習 第1回 大雪高原温泉・高原沼周辺 旅行代金:45,000円
            第2回 白雲岳避難小屋周辺 旅行代金:60,000円
            第3回 愛山渓周辺 旅行代金:45,000円
    オンライン講習 全5回 :2,000円 / 回
  3. 定員
    最大15名
  4. エントリー期間
    2022年5月16日(月)〜7月1日(金)

参加の流れ

  1. STEP01

    クラブツーリズムのエントリーページよりお申し込みください。

  2. STEP02

    クラブツーリズムより確認のメールおよび書面をお送りいたします。

  3. STEP03

    受講料をお支払い頂き、Facebookグループにご参加頂いた時点でご入学となります。

  4. STEP04

    同期生との交流や、エキスパート講師陣による講座をお楽しみください。

  5. STEP05

    所定のプログラムを修了されると、卒業となります。

受講期間中のご連絡はFacebookグループ内で行います。受講される方はFacebookのご登録およびグループへのご参加が必須となりますので、あらかじめご了承ください。

YAMA LIFE CAMPUS 旅行企画・実施:
クラブツーリズム株式会社

過去の講座の様子を写真でご紹介
  • 近自然工法は、まず現地の生態系・植生を把握するための自然観察から始まる

  • 整備には、チェーンソー・かけや・バールなど様々な道具を駆使する

  • 完成イメージを共有したら、元の状態を写真で記録することも忘れずに

  • 資材は倒木や川底の石。自然界の力学と、メンバーの感性を融合させて道を形作っていく

  • 大きなハンマー「かけや」を振り落とすのは、自ら志願した女性メンバー

  • 風景に溶け込む見事な施工。人が歩きやすく、周囲の植生にも配慮した登山道が完成

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