登山道整備編 第三期

私たち登山者は、山の中で、きれいな空気を吸い、すばらしい景色を眺め、時には人との貴重な時間を過ごします。登山を通して心身が健康になること、余暇の楽しみが増えることで、自分の人生を充実させています。
それらの恩恵を受けている私たちの足元には、道があります。
山に親しむ登山者の手で、未来に残る道をデザインしませんか?
自分が作った道を、日々たくさんの人が歩く。道があることで、周囲の生態系や植生が守られる。
道づくりは、登山とは異なる面白さと感動を与えてくれる、山の新たなアクティビティです。

講師
岡崎 哲三
一般社団法人 大雪山・山守隊・代表

自然に近い・近づける「近自然工法」による登山道整備や技術指導で1年中歩き回り、山を治す。
山は好きだけど、登山よりも治すことの方が好き。
自然を観察し、変化を感じ取り、合わせていく作業を実践している。

講師からのコメント

大雪山の「登山道荒廃問題」は深刻な状況です。300kmあると言われる登山道では、いたるところで道が崩れ歩きにくくなり、土が流され、植物が減っています。
YAMA LIFE CAMPUS(登山道整備編)では、侵食を止め、生態系を復元させる考え方である「近自然工法」を皆さんと共に学び、登山道整備を実践したいと考えています。登山道整備は「自然観察とものづくり」であり、どちらもとても楽しいと思っています。
復元した植物を見た時の感動は、普通の登山ではまず感じない感情です。
大雪山という美しい自然を利用するだけでなく、地域の自然正しく理解し、旅を楽しむという真のエコツーリズムで皆さんとお会いできることを楽しみにしています!

講師のインタビュー
登山道整備のプロから学び、山の楽しみ方を広げる講座が開講!
カリキュラム

  1. 7月
    テーマ:自然をマネして、道をつくる

    いま日本各地の山々で、登山道の荒廃が進んでいます。
    崩れた登山道を放置すれば、転倒や滑落などの原因となり歩く人の安全を脅かすだけでなく、周囲の生態系や植生が侵食されるため、やがて美しい風景も失われていきます。
    この問題に対しては、これまでも登山道を補修する様々な取り組みが行われてきました。
    しかし、登山道の整備は、やり方によっては自然の景観美を損なうばかりか、さらに被害を拡大させるリスクがあるため、正しい知識と技術を身につけて行う必要があります。

    1ヶ月目は、自然の価値や構造物の力学、生態系・植生についての理解を深めながら、風景になじみ、植物を蘇らせ、100年後の森を育む道づくりを学びます。
    フィールド講習では、夏の雪景や希少な高山植物、秋の紅葉などで人気の大雪高原温泉沼めぐり登山コースで、実際に多くの登山者が歩く登山道を作ります。

    1. オンライン講習
      日程:7月12日(水) 19:30~21:00

      内容:オリエンテーション / 講師・参加メンバー紹介 / 大雪山の現状と侵食のメカニズム / 注目を集める職人技 "近自然工法"
    2. オンライン講習
      日程:7月19日(水) 19:30~21:00

      内容:自然地理学から見た大雪山の登山道と植生 / 地形の経年変化モニタリングと今後の傾向

      招待講師:北海道大学 大学院 小林勇介 氏
    3. フィールド講習
      日程:7月22日(土)〜23日(日)

      場所:大雪高原沼周辺 (大雪高原山荘集合)

      内容:生息する動植物の種類、川の流れや底に沈む石の状態など、自然観察による自然物の構造理解 / 生態系の把握 / 自然の景観に溶け込む道づくり
  2. 8月
    テーマ:止まらない侵食。"再生"のスピードを加速せよ

    日々、登山者の安全や自然環境の保護に向き合い道を治し続ける人、そこにボランティアとして協力する人たちがいます。
    しかし、この努力で治せるスピードを大きく上回るペースで侵食は進んでいます。
    本講座で扱う近自然工法のように整備技術は存在しますが、残念ながら、技術だけでは山を守りきれない現状があります。
    日本の豊かな自然風景と、山に行く楽しみを守るために、いま登山者の皆さんの力が必要です。

    2ヶ月目は、大雪山国立公園にスポットを当て、国や行政の取り組みと課題、登山者に求められる役割について議論します。
    フィールド講習では、大雪山系の絶景が魅力の白雲岳を舞台に、様々な道具を使った施工を行います。
    避難小屋に泊まりながらの整備活動は、白雲岳ならではの貴重な体験です。

    1. オンライン講習
      日程:8月2日(水) 19:30~21:00

      内容:大雪山が持つ "国宝級" の価値と特徴 / 大雪山に関わる人々の取り組みと課題・未来への展望
    2. フィールド講習
      日程:8月18日(金)〜20日(日)

      場所:白雲岳避難小屋周辺 (大雪高原山荘集合)

      内容:高山帯にある寒暖差が作りあげた芸術的な生態系を体感 / 砂礫地での登山道整備とは、崩れを見越した施工方法 / 自然の時間軸を考える植生復元
  3. 8・9月
    テーマ:人が歩くほどに、山が美しくなる未来へ

    自然環境を守るためには、人が山に入らない方がよいという見方があります。
    しかし、山はすでに人の生活や産業と密接に結びついており、今から人の立ち入りを止めたところで、侵食は止まりません。
    一度人の手が入った山は、荒廃の拡大を食い止めると同時にその景観美を将来に残すために、人の力を必要としています。

    そして、人と山との共存関係を築いていくためには、人がもっと山を好きになり、守ることへの関心を高めていくことが不可欠です。
    その意味において、登山は、人と山の関係をつなぎとめるとても有効な手段なのです。

    3ヶ月目は、普段の登山とは異なる新たな視点で山を見渡し、生きた風景や植生に思いを巡らせ、登山者一人ひとりにできることを考えます。
    その過程で、日本よりも登山道整備の歴史が長い、海外の取り組みや先進的な仕組みについて理解を深めます。
    フィールド講習では、北海道の大自然を感じられる湿原や原生林、山奥の秘湯などで人気の愛山渓エリアを訪れ、これまで学んだことの集大成として、人と自然に優しい道づくりを行います。

    1. オンライン講習
      日程:8月30日(水) 19:30~21:00

      内容:近自然工法と公共工事 / 登山の「維持・管理」と「整備」の違い / 自分の能力を活かす場所としてのボランティア

      招待講師:環境カウンセラー・山口和男 氏
    2. フィールド講習
      日程:9月9日(土)〜10日(日)

      場所:愛山渓 周辺

      内容:踏圧侵食を防ぐための木道作り / 侵食防止と歩きやすさのバランスを考える / 人間が嫌いなドロドロ道は植物には必要な土壌、植物の視点で考える観察眼を養う
    3. オンライン講習
      日程:9月20日(水) 19:30~21:00

      内容:3ヶ月間の振り返り・学びの共有 / 次のステップアップと今後の道づくりへの関わり方について
期間・募集人数
  1. 参加期間
    2023年7月〜9月
  2. 受講料
    160,000円(税込)

    内訳
    フィールド講習 第1回 大雪高原温泉・高原沼周辺 旅行代金:49,000円
            第2回 白雲岳避難小屋周辺 旅行代金:62,000円
            第3回 愛山渓周辺 旅行代金:49,000円

    オンライン講習 全5回 :上記フィールド講習代に含む
  3. 定員
    15名
  4. エントリー期間
    2023年6月2日(金)〜6月30日(木)

参加の流れ

  1. STEP01

    クラブツーリズムのエントリーページよりお申し込みください。

  2. STEP02

    クラブツーリズムより確認のメールおよび書面をお送りいたします。

  3. STEP03

    受講料をお支払い頂き、Facebookグループにご参加頂いた時点でご入学となります。

  4. STEP04

    同期生との交流や、エキスパート講師陣による講座をお楽しみください。

  5. STEP05

    所定のプログラムを修了されると、卒業となります。

受講期間中のご連絡はFacebookグループ内で行います。受講される方はFacebookのご登録およびグループへのご参加が必須となりますので、あらかじめご了承ください。

YAMA LIFE CAMPUS 旅行企画・実施:
クラブツーリズム株式会社

過去の講座の様子を写真でご紹介
  • 近自然工法は、まず現地の生態系・植生を把握するための自然観察から始まる

  • 整備には、チェーンソー・かけや・バールなど様々な道具を駆使する

  • 完成イメージを共有したら、元の状態を写真で記録することも忘れずに

  • 資材は倒木や川底の石。自然界の力学と、メンバーの感性を融合させて道を形作っていく

  • 大きなハンマー「かけや」を振り落とすのは、自ら志願した女性メンバー

  • 風景に溶け込む見事な施工。人が歩きやすく、周囲の植生にも配慮した登山道が完成

1/8
募集中の講座
現在募集中の講座はありません
次回募集をお待ちください
募集予定の講座
現在募集予定の講座はありません
次回の募集をお待ちください